3倍打点ニキとは、「4番打者は、本塁打数に対して3倍の打点が必要」という謎理論を提唱する人物のこと。
単に、個人成績の見栄えの問題と指摘する声もある。
3倍打点ニキとは?
3倍打点ニキとは、「4番打者は、本塁打数に対して3倍の打点が必要」という謎理論を提唱する人物のことです。
何故、4番打者は本塁打数に対して3倍の打点が必要なのかは不明ですが、単なる見栄えの問題とも言えます。
3倍打点ニキが満足する成績例
3倍打点ニキが満足する成績は、もちろん、本塁打数に対して打点が3倍ある成績となります。
選手 | シーズン | 本塁打 | 打点 | 3倍打点 | 備考 |
落合博満 (ロッテオリオンズ) |
1982年 | 32 | 99 | 96 | 打率.325で一度目の三冠王獲得シーズン。 |
ロバート・ローズ (横浜ベイスターズ) |
1999年 | 37 | 153 | 111 | 打点王に加え、打率.369で首位打者も獲得。 マシンガン打線全盛期のため、ローズの前にランナーがたまりやすかった。 |
イチロー (オリックス・ブルーウェーブ) |
2000年 | 12 | 73 | 36 | パ・リーグ歴代1位.387で首位打者を獲得。そして開幕から4番を務めている。 3倍打点ニキの定義をクリアしているが、スラッガータイプではないので3倍打点ニキが満足するかは不明。 |
サブロー (千葉ロッテマリーンズ) |
2005年 | 14 | 50 | 42 | 「つなぐ4番」の代名詞的存在。 イチロー同様、3倍打点ニキの定義をクリアしているが、スラッガータイプではないので3倍打点ニキが満足するかは不明。 |
金本知憲 (阪神タイガース) |
2005年 | 40 | 125 | 120 | 3倍打点ニキが満足する成績の典型例。 尚、同シーズンに5番打者を務めた今岡誠は本塁打29・打点147(歴代3位)を記録しているが、3倍打点ニキの定義から外れてしまう。 |
トニ・ブランコ (横浜DeNAベイスターズ) |
2013年 | 41 | 136 | 123 | 3倍打点ニキが満足する成績の典型例その2。 バレンティンがシーズン本塁打歴代1位を記録した同シーズンの打点王と首位打者。 |
3倍打点ニキは「4番打者はホームランを打つことが仕事」みたいな固定観念があるので、ホームランバッターよりも、イチローやサブローの様な安打が多い打者の方が、3倍打点ニキのレギュレーションをクリアしやすいと言えます。
3倍打点ニキが不満な成績例
3倍打点ニキが満足しない成績は、当然、本塁打数に対して打点が3倍を下回っている成績となります。
選手 | シーズン | 本塁打 | 打点 | 3倍打点 | 備考 |
王貞治 (読売ジャイアンツ) |
1964年 | 55 | 119 | 165 | 世界の王がシーズン本塁打記録(当時)を達成したシーズン。 3倍打点ニキが満足する打点を大きく下回っている。 |
落合博満 (ロッテオリオンズ) |
1985年 | 52 | 146 | 156 | 打率.367で二度目の三冠王獲得シーズン。 本塁打52は歴代6タイ、打点146は歴代4位タイだが、3倍打点ニキが満足する打点を下回っている。 |
落合博満 (ロッテオリオンズ) |
1986年 | 50 | 116 | 150 | 2年連続・三度目の三冠王だが、3倍打点ニキが満足する打点を大きく下回っている。 |
バリー・ボンズ (サンフランシスコジャイアンツ) |
2001年 | 73 | 137 | 219 | MLBシーズン最多本塁打(歴代1位)だが、打点が82足りない。 |
古木克明 (横浜ベイスターズ) |
2003年 | 22 | 37 | 66 | 暗黒時代の横浜ベイスターズの4番。 |
トニ・ブランコ (中日ドラゴンズ) |
2009年 | 39 | 110 | 117 | 本塁打王・打点王を獲得するも、3倍打点ニキが満足する打点を下回っている。 |
中村剛也 | 2011年 | 48 | 116 | 144 | 飛ばないボールの初年度。 3倍打点ニキが最も嫌う典型例。 2位25本塁打(福岡ソフトバンクホークス・松田宣浩)を大きく上回り、千葉ロッテマリーンズのチーム本塁打46を上回っている。 |
ウラディミール・バレンティン (東京ヤクルトスワローズ) |
2013年 | 60 | 131 | 180 | NPBシーズン最多本塁打(歴代1位)だが、3倍打点ニキが満足する打点を大きく下回っている。尚、同シーズンのトニ・ブランコは本塁打41・打点136で、3倍打点を達成している。 |
筒香嘉智 (横浜DeNAベイスターズ) |
2016年 | 44 | 110 | 132 | 本塁打王・打点王の2冠に加えて、打率.322だが、3倍打点ニキが満足する打点を下回っている。 |
この様に、4番打者が歴史的な成績を残していたとしても、本塁打数に対して打点が3倍に到達していないと、3倍打点ニキを満足させることが出来ません。また、本塁打を打つ打者ほど、3倍打点ニキのレギュレーションをクリアすることが難しくなります。
本当に3倍打点は必要なのか?
ところで、本当に3倍打点は必要なのでしょうか?いや、必要無いです。そもそも、打点を多くあげるためには、4番打者だけで達成できるものではありません。
その時々のチームの状態によって、4番打者の前にランナーが貯まらないケースが存在します。
- 1番~3番の出塁機会が少ない
- 3番打者がランナーを一掃してしまう
- 5番打者が穴なので強打者の4番が敬遠されてしまう
ざっと考えただけでも、上記のケースが存在します。そもそも、打点をあげるにはチーム状態に左右されますし、その要因はプラスとマイナスどちらも含まれています。
3倍打点ニキは実在する…?
ちなみに、3倍打点ニキというのは実在します。
厳密には3倍打点ニキの提唱する謎理論の定義とは少し違いますが、高木豊氏が自身のYouTubeチャンネルで、オリックス・バファローズ所属の吉田正尚選手の成績について、「ホームランが30本なら、その3倍が打点になって欲しい」と語っています。
高木豊氏の提唱する理論を定義してみると、
ホームラン30本以上の選手は3倍以上の打点
となります。
動画が投稿されたのは2019年12月25日で、2019年の吉田正尚選手の成績は、
- 打率.322
- 本塁打29本
- 打点85
となっています。ただし、吉田正尚選手は30本塁打を超えていません。なので、高木豊氏的には「30本くらい打つ選手は、その3倍くらいの打点」ということになります。
ただし、「チーム事情を考えると仕方が無い」と付け加えているので、4番打者という絶対的定義を提唱している3倍打点ニキよりもハードルは緩いことが分かります。