「たかが選手が」とは、渡邉恒雄氏が2004年のプロ野球再編問題の際に発した言葉。
「たかが選手が」とは?
「たかが選手が」とは、2004年のプロ野球再編問題において、当時の読売ジャイアンツ(巨人)オーナーであった渡邉恒雄氏が発した言葉です。
渡邉恒雄氏の発言自体はセンシティブを通り越して、もはや差別的な発言とも言われていますが、記者の捏造によって生まれてしまった言葉でもあります。
背景
2004年のプロ野球再編問題では、経営陣と選手会側で対立していました。
経営陣側 | 選手会側 | |
主要人物 | 渡邉恒雄氏(巨人オーナー) 堤義明氏(西武ライオンズオーナー) 宮内義彦氏(オリックス・ブルーウェーブオーナー) |
古田敦也氏など |
主張 | 1リーグ制移行 | 12球団2リーグ制の維持 |
経営陣側と選手会側で話し合いが行われていましたが、経営陣側は実際に交渉のテーブルには座らず、各球団の代表から選ばれた実行委員会に交渉を任せていました。
しかし、実質的な決裁権は経営陣側のオーナーにあるため、実行委員会は話を聞いて持って帰るというスタンスです。実行委員会は伝書鳩なので、選手会との交渉の場で何かが決まるというわけではなく、ただただ時間を費やすという状態です。
これは労使協定でよくある話です。経営側の戦略の一つであり、交渉を引き伸ばしていれば選手会側がそのうち折れるだろうという魂胆です。
選手会側も埒が明かないため、当時の選手会会長だった古田敦也氏は取材で「直接オーナー側と会ったほうがいいのではないか?」と質問されて、「出来ればそうしたいんですけど、機会を設けてくれないでしょう」と述べています。
しかし、この発言をマスコミお得意の拡大解釈によって炎上不可避の言葉に変えられます。
古田敦也氏の言葉を受けて、西村欣也記者が渡邉恒雄氏にこの様に質問しました。
【西村欣也記者が捏造した質問】
「代表レベルだと話にならないんで、できれば、オーナー陣といずれ会いたい、と言っていますが」【渡邉恒雄氏の返答】
「ふん、無礼な事を言うな。分をわきまえなきゃいかんよ。たかが選手が。『たかが選手』ったって立派な選手もいるけどね。オーナーとね、対等に話する協約上の根拠が一つも無い。」
この渡邉恒雄氏の発言を受けて、翌日の新聞で「たかが選手が」という痛烈な見出しが載ってしまい、テレビでも一斉に報道されてしまいます。
プロ野球だけでなく、経営者と労働者の問題として取り上げられるなど、世間を大きく騒がせることになりました。
「たかが選手が」という発言によって、球団とプロ野球選手の対立だけにとどまらず、労使問題としても注目度が一気に上がります。経営陣側を支持していた人たちも選手会側に一気に傾いてしまいました。
記者の捏造問題
古田敦也氏としては、要求したわけでは無く、オーナーと交渉する機会があれば交渉したいという希望です。
しかし、どうしたものか、西村欣也記者はその発言を曲解して「代表レベルだと話にならない」という痛烈な発言にすり替えています。マスコミがマスゴミと言われる明確な事例でもあります。
ただし、世論の論調を一気に選手会側に傾けた「たかが選手が」という渡邉恒雄氏の発言を引き出しています。これは事実なので、ある種の功績と言える…わけありませんね。捏造は捏造ですから。やっぱマスコミってマスゴミだわ。
関連リンク
「話をしたい」という古田に、渡辺オーナーが「無礼な」|asahi.com(インターネットアーカイブ)