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とても読書が好きだった渋沢栄一

渋沢栄一は読書が好きでした。家業の手伝いや、剣術の鍛錬なども行っていましたが、読書が好きすぎて叱られるくらい、それはもう読書が好きな青年だったのです。

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渋沢栄一の読書法

渋沢栄一は読書の方法を従兄弟・尾高惇忠から教わります。尾高惇忠は超スーパーマンで、非常に学問の才能があり、尾高惇忠が17歳の時に自宅に塾を開いて、栄一をはじめとした子供たちに学問を教えていました。

尾高惇忠のユニークな教育法

尾高惇忠の教え方はユニークと言われており、詳細な解説をせず、読み方とおおよその意味を教えるだけです。当時は四書五経をひたすら暗唱するというスタイルが一般的でした。教える人が読み上げて、子供たちが同じことを読み上げ、とにかく四書五経に書かれていることを覚えるという、いわば詰め込み教育の前身みたいなものです。尾高惇忠はそういうことをせず、つらつらと読んで、要点を子供たちが分かりやすい様に解説するといった教育スタイルだったのです。

そして、もう一つ、惇忠は「はじめのうちは面白いと思った書物を、とにかく多くを読んでいれば、そのうち難しい書物を読んだ時に自力で理解できる」という方針でした。栄一は「なるほど」と考え、栄一は面白いと思った本を多く読む事にしました。

尾高惇忠はこの栄一の読書スタイルについては「はじめのうちは、小説でも何でもよいので、読みやすいものから入るのが一番良い。堅苦しい四書五経を呼んでも、理解して本当に自分に役立つのは歳を取ってからだ。面白いものを何度も読めば、読む力がついて、いつか難しい本も読めるようになる」と言うようなコメントをしています。

栄一の好んだ本

栄一が読んだ本は、当時は「稗官野乗の類」と言われています。稗官野乗というのは、いわゆる小説のことです。栄一は堅苦しい本ではなく、勧善懲悪モノや軍記モノの様な小説を繰り返し読んだそうです。栄一が後年に語った談話の中で、

  • 俊寛島物語(栄一が最初に読んだ小説)
  • 通俗三国志(江戸時代に翻訳された三国志演義)
  • 里見八犬伝(滝沢馬琴の作品)
  • 漢楚軍談(現代でいうところの『項羽と劉邦』)
  • 呉越軍談

の作品にハマったとのこと。軍記モノは寝食を忘れるほど読んでいたそうで、三国志は英雄たちの仲間になって妄想に浸るくらいにハマっていました。栄一の様な、後年に著名になる人でも、青年期の読書のハマり方は現代の若者と変わらないみたいですね。

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読書にハマり過ぎた失敗談

さて、見事に読書が好きになった渋沢栄一ですが、読書が好きすぎて失敗したことがあります。12歳のころ、正月に年始の挨拶にまわっていた時の事。読書が好きでしたので、正月でも本を持ち歩きながら年始の挨拶にまわります。その時、読書に夢中になり過ぎて、溝があることに気が付かず、溝に落ちてしまいます。これでは本が濡れてさあ大変!どころではありません。正月の着物が台無しで、母親に大層叱られたそうな。

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編集後記

面白いと思った本を多く、そして繰り返し読むといった栄一の読書法は、栄一の後年の談話でも語られています。どんな本でも読んでいたという訳ではなく、スタートは面白いと思った本を読むところからはじめたそうです。読書にチャレンジしようとしている人は、難しい本よりも、面白いと思った本を読んでみてはどうでしょうか。

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参考資料

第1巻(DK010002k)本文|デジタル版『渋沢栄一伝記資料』|渋沢栄一|公益財団法人渋沢栄一記念財団

『父 渋沢栄一』(実業之日本社文庫)

『渋沢栄一』(人物叢書)

2021年放送の大河ドラマ『青天を衝け』の主人公・渋沢栄一。当サイトでは、放送されるエピソードの他、放送されないエピソードも執筆しています!是非、大河ドラマと合わせてお楽しみください!