日本のほとんどの企業や役所が入退室用のセキュリティカードを使用しています。このセキュリティカードですが、紛失すると凄く怒られますね。自分の家の鍵を誰かに貸して、その人が無くしたら、あなたも怒ると思います。それと同じです。
さて、エンジニアがセキュリティカードを紛失すると、これはもう一大事です。紛失したことのある人なら非常に苦い思い出になっていると思います。しかし、紛失経験の無い人は何がどうなるのか知らないと思いますので、今回はセキュリティカードを紛失すると何が起こるのかということを紹介しようと思います。なお、筆者は紛失経験はありませんが、管理職時代に部下が何回か紛失したので、巻き添えを食らったことがあります。。。
事務的なイベント
セキュリティカードを紛失した際、各会社によって事務的なイベントは異なりますが、一般的な発生イベントを紹介します。
上司に報告
セキュリティカードを紛失した場合、まずは直属の上司に報告する必要があります。自分で何とかしようとすると、後々悲惨になります。間違っても警察に紛失届を出すなんてことはしない方がいいです。この際、報告する内容は以下です。
- 紛失に気付いたタイミング
- 今現在の自分の状況
- 紛失に気づくまでの自分の行動
この3点をまずは報告しましょう。いつ紛失に気が付いたかは重要です。真夜中であっても上司に電話するべきです。例えば、「飲み過ぎて終電が無くなり、コンビニのイートインで寝ていたらカバンが無くなっていた。それが深夜2時。」という場合でも、必ず電話します。朝になってからで良いというのは遅すぎます。
会社経由で客先に報告
客先には紛失者本人よりも先に、会社経由で客先に報告する必要があります。間違っても自分自身で会社よりも先に、客先に報告した場合、会社が認識していないという事態になります。コーポレートガバナンスに関わるので、セキュリティカード紛失&コーポレートガバナンス問題が浮上して、非常に深刻な問題に発展します。客先から会社に「御社のセキュリティはどうなっているんだ。」というクレームになります。
始末書の作成
さて、セキュリティカードを紛失した本人は始末書を作成する必要があります。以下のポイントで作成しましょう。
- いつ紛失したか
- どこで紛失したか
- 紛失するまでの経緯
- 考えられる紛失した原因(再発防止策で必要)
始末書の作成後は上司に提出し、そこから会社経営陣までエスカレーションしていきます。
会社としての再発防止策の策定
再発防止策の策定ですが、まずは会社としての再発防止策を決める必要があります。紛失の原因を突き止め、作成した再発防止策を迅速に客先に提出します。必要であれば、会社ホームページに掲載します。大企業だと記者会見レベルですね。
紛失者個人の再発防止策の策定
当然、紛失者個人も再発防止策を決める必要があります。ただ、客先提出は必須では無いケースが多いです。再発防止策と併せて、反省文提出を指示される場合があります。
経済的損失イベントが発生する可能性がある
事務的なイベントは、会社・個人として当然のことですが、会社・個人が経済的な損失を被ることがあります。
契約解除
セキュリティカードを紛失した場合、客先から契約解除を通告される場合があります。個人としてNGになるのであれば、傷は最小限ですが、会社としてNGを貰うと、会社の売り上げが減少します。そうなると、中長期的な会社の経営計画を練り直す必要が出てきますし、社員へのボーナスなども減らすという場合もあります。
入退室システムの総入れ替えによる費用請求
セキュリティカードを紛失して悪用を防ぐために、紛失したセキュリティカードを使用停止すれば、紛失したセキュリティカードで侵入は出来ません。しかし、セキュリティカードを解析され、客先が「セキュリティに脅威が及ぶ可能性が出てくるため入退室システムを総入れ替えする」と判断すれば、紛失した会社に費用請求する場合があります。
ブランドの低下による賠償請求
セキュリティカード紛失により客先のブランドが低下した場合、客先から紛失した会社に賠償請求をする場合があります。ビジネスはブランディングが重要で、ブランドが低下してしまうと、ブランドを取り戻すのは容易ではありません。
IT業界のブラックリスト入り
「〇〇社のエンジニアがセキュリティカードを紛失し、会社のその後の対応が杜撰である」とIT業界で広まった場合、IT業界内でブラックリストに入り、業界全体から紛失した会社に対してNGされる場合があります。そうなると、会社経営に支障が出て来て、経営継続が難しい、もしくは不可能という事態に陥る可能性があります。
まとめ
当然ですが、セキュリティカードは紛失しない方が良いです。ただ、紛失してしまった場合は、直ちに上司に報告し、紛失の原因を突き止め、再発防止策を策定する必要があります。紛失してショックを受けているよりも、紛失後の迅速な行動を取れているかどうかで、会社・個人の価値が問われます。まあ、紛失しないのが一番ですけどね。