競馬の枠順決定には作為的な印象を受けると考える競馬ファンは多いです。そう考えるのも仕方ありません。日本中央競馬会の枠順決定方法は一部を除いて非公開のため、さじ加減で枠順を操作出来てしまう可能性があるからです。
枠順はどうやって決めてるの?
日本中央競馬会(以下、JRA)において、レースの枠順を決める方法は、JRAの公式ホームページに記載されている通り、以下の様に定められています。
Q34 出走馬の馬番(枠順)はどのようにして決められるのか。
各競走における馬番(枠順)は、公開抽選で行われる一部GⅠ競走をのぞき、全てコンピュータにより自動的に決定されます。また、出馬投票馬が出走可能頭数を超過した時に出走できる馬を抽選する際にも、全てコンピュータにより自動的に決定されます。
つまり、ほとんどのレースの枠順がコンピュータによって自動的に決められていることになります。
GⅠレースの枠順の決め方
GⅠレースについては、公開抽選(競馬関係者やマスコミ関係の人間にだけ公開)と非公開抽選が存在します。
公開抽選・非公開抽選が行われるのがどのレースなのかは、JRAが公表していないのですが、昔は結構ネット上に転がっていました。ソース元はどこかというと、『優駿』の2011年 03月号です。そこで、八大競争・ジャパンカップ・ジャパンカップダート(現・チャンピオンズカップ)の枠順についてはコンピューターによる抽選が行われていると述べられています。
しかし、2021年現在は有馬記念以外のレースは非公開抽選です。
公開抽選はガラポン?
公開抽選ってどうやってるの?ということについては、どうやらヤフー知恵袋でとあるユーザーが、美浦トレセンにあるガラポンの写真を掲載しています。もし、これが競馬関係者による写真掲載なら情報流出という極めてマズい事態になると考えられます。
競馬についての質問です、出馬表の枠順はどのように決まるのでしょうか?具… – Yahoo!知恵袋
まあ、消されていないので、JRAがザルなのか、もしくはガセ情報のどちらかでしょうね。
非公開抽選はヤラセ?
さて、非公開抽選ですが、コンピューターで行われているとのことです。コンピューターが抽選するのだから公正ですね。
…とは思いません。どんな仕組みで抽選を行っているのか、JRAは公表していません。
例えば、JRAの言うコンピューターが、
最初から枠順を人為的に決めて、抽選ボタンをクリックすると、最初に人為的に決めた枠順になる
という仕様だったらどうでしょうか?
確かに、コンピューターによる抽選ですが、コンピューターを使った抽選という手続きをしたに過ぎません。ランダムに枠順を決めるコンピューターを用いているとは一切記載していないですからね。
もし、ランダムに枠順を決める仕様だったとしても、JRAの満足のいく枠順になるまで、何回も抽選ボタンをクリックするということも考えられます。
人為的な力が働いている可能性がある抽選の例
「いやいや、コンピューターが決めてるんだから当然ランダムだし、非公開抽選であっても公正でしょう」と言う方がいらっしゃると思います。しかし、長く競馬ファンをやってる人はそうは思いません。非公開抽選が公正だと仰る方に、是非とも紹介したい事例があります。
オルフェーヴル
オルフェーヴルはエピソードに事欠かないサラブレッドですが、とりわけ、競馬ファンの印象に残っているのは、2012年の阪神大賞典でしょう。
このレース、2週目の第三コーナーに入ろうとしたところ、外ラチに向かって大きく逸走してしまい、ズルズルと後退していきます。多くの競馬ファンは「故障か?」と息をのんで観戦していたと思いますが、内側を走る馬を見つけたオルフェーヴルはレースに戻って再加速し、結果2着になりました。
ある意味で伝説的なレースなのですが、平地調教再審査の制裁となり、次走で予定していた天皇賞・春は審査の結果次第となりました。
審査自体は無事に終了し、天皇賞・春に出走できるようになりましたが、その枠順は18番という大外枠です。
これ、偶然にしては出来過ぎています。長距離で内枠を走らせると逸走することを懸念したJRAが「大外枠で後方からレースをして下さい」と暗に示唆した様にも受け取れるのです。
ここで、阪神大賞典以降のレースの枠順も見てみましょう。
レース (国内のみ) |
枠番 | 出走頭数 | 着順 |
第60回阪神大賞典(GⅡ)-2012年 | 8枠12番 | 12頭 | 2着 |
第145回天皇賞・春(GⅠ)-2012年 | 8枠18番 | 18頭 | 11着 |
第53回宝塚記念(GⅠ)-2012年 | 6枠11番 | 16頭 | 1着 |
第32回ジャパンカップ(GⅠ)-2012年 | 8枠17番 | 17頭 | 2着 |
第57回産経大阪杯(GⅡ)-2013年 | 4枠5番 | 14頭 | 1着 |
第58回有馬記念(GⅠ)-2013年 | 3枠6番 | 16頭 | 1着 |
オルフェーヴルの競走成績 | 競走馬データ – netkeiba.com
2012年内は春天が大外、宝塚記念が16頭立ての6枠11番で外寄り、ジャパンカップも大外という、まるで懲罰かのような枠順。そして、それらのレースは、枠順が非公開抽選とされているGⅠレースです。
JRAもちょっとやりすぎかと思ったのか、2013年の産経大阪杯(当時はGⅡ)では割と内寄りの枠をプレゼントしています。
キタサンブラックの3戦連続1枠1番
2016年秋のキタサンブラックの枠順抽選結果は非常に興味深いです。
レース | 枠番 | 出走頭数 | 着順 |
第51回京都大賞典(GⅡ)-2016年 | 1枠1番 | 10頭 | 1着 |
第36回ジャパンカップ(GⅠ)-2016年 | 1枠1番 | 17頭 | 1着 |
第61回有馬記念(GⅠ)-2016年 | 1枠1番 | 16頭 | 2着 |
キタサンブラックの競走成績 | 競走馬データ – netkeiba.com
何と、出走した3レース連続で1枠1番です。
確率的には、10*17*16=2,720分の1なので、あり得ないことも無いでしょう。
枠順だけでは競馬というものは勝った!とは言えませんが、キタサンブラックの脚質は逃げなので、内枠の方が有利なのは間違いありません。
有馬記念は公開抽選で公衆の目が光っていますが、2年連続でキタサンブラックが1枠を引いたのは、ちょっとどうなのかなとも思います。
2017年はキタサンブラックに有終の美を飾ってドラマチックな終わりを迎えるためにJRAが何かしらの忖度をした…という意見もありますが、真相は定かではありません。あくまでも公開抽選ですから。
有馬記念は公開しているが…
2014年以降、1年の総決算とも言われているGⅠ・有馬記念の枠順については、公開抽選で行われています。
有馬記念を盛り上げようというイベントなので、有名人や人気タレント・俳優・女優を抽選に参加させて、有馬記念当日の売り上げをアップさせようという目論見です。
まあ、これだけは正真正銘、公正な抽選…と思いたいですね。