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迷信を信じなかった少年時代の渋沢栄一

渋沢栄一は少年時代から農家とは思えないほどの教育を受けており、知識は豊富で、理路整然と話すことが出来る少年でした。父の影響もあってか、迷信というものを信じておらず、修験道者をやりこめたという話があります。

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迷信を理論で打破する

迷信に頼る曾祖母

栄一が14歳ごろ、栄一の姉・お仲に縁談の話が持ち上がっていました。特に問題もなく、縁談の話は調子よく進んでいましたが、実は、お仲の縁談相手の家の血筋は「狐憑き」ということを、栄一の祖父が聞きつけ、縁談は取りやめになりました。

狐憑きというのは、狐(キツネ)の霊に取り憑かれて錯乱し、精神病の様に異常な状態になってしまうことです。昔からある迷信ですが、江戸時代は狐憑きの迷信が広まっていました。

さて、不幸なのはお仲の方です。縁談が取りやめになり、当のお仲は相当ショックだったのか、精神的に病んでしまいました。ずっと泣いていたり、呼吸困難の様な硬直状態になったり、はたまた、何かに取り憑かれた様な言動を起こしたりと、これではどちらが狐に憑かれたのかわかりません。栄一はただただ、姉のそばにいて、姉のショックをいたわってあげていました。

しばらくして、父・渋沢美雅(市郎右衛門元助)が見かねたのか、お仲を信濃まで連れて行って滝に打たせに行きました。迷信嫌いな父でしたが、ショック療法に頼るというこれまた不思議な人です。

それはさておき、栄一の父と姉が信濃に出かけている間に、栄一の曾祖母が修験道者を家に連れて来て、お祓いを試みました。「お仲が精神的に病んだのは、この家に祟りがあるからだ」という思い込みで、迷信を嫌う父が留守の間にしれっと用意したのでした。父と同じく迷信が嫌いな栄一も反対しますが、聞き入ってくれません。

インチキ迷信を知識で論破する

曾祖母のゴリ押しによって、修験道の行者が渋沢家にやってきて、祈祷を行います。渋沢家の飯炊き女を「中座」という霊媒に選び、呪文を唱えて儀式っぽいそれが始まります。飯炊き女に何かしらが降霊し、修験道の行者が「この家どうです?」と伺いを立てると、何かに取り憑かれたっぽい飯炊き女が「この家には金神(こんじん)と井戸の神、無縁仏の祟りがある」と言います。

「マジかよw修験道ってやばいなw」と思うかもしれませんが、この飯炊き女は、何かしらの見返りを貰っていたのでしょう。古今東西、降霊商法やスピリチュアルというのはそんなものです。いかに演技力がモノを言うか、それに限ります。

降霊されたヤラセ飯炊き女の言葉を聞いた栄一の曾祖母は、「やっぱりそうか」と言いますが、ここで栄一が言います。

栄一「無縁仏が出たのはいつ頃ですか?いつ出たのか知らないと、供養するのに困ります。」 

まあ、確かにそうです。修験道の行者は言います。

行者「だいたい、50~60年くらい前だ」 

続けて栄一が聞きます。

栄一「その時、年号って何でしたっけ?」

行者「天保三年くらいだ」 

栄一はおや?と思います。そして、

栄一「おかしいですねえ。天保三年と言えば、今から23年前ですね。50~60年前ではありません。人の家の古い無縁仏まで見通すことが出来る神様が、そんなことを間違えるなんておかいしいです。子供でもわかります。そんな神様のお告げというのは、信じることが出来ません。」

とバッサリと言います。曾祖母はそれを聞いて栄一を「やめないか」と言って制止しますが、こうなった以上は後の祭り。修験道の行者は「今のは野狐(やこ)が乗り移ったのだろう」と言葉を濁します。栄一は、

栄一「野狐なら供養する必要はありません。人間を化かす狐ですから、神様ではありませんね。」

と、とどめの一撃。修験道の行者はぴくぴくと怒りの表情で、途中で祈祷をやめ、栄一を睨みつけながら帰って行きました。

数日後、父と姉が家に戻り、そのことを栄一の母が父に言うと、

父「いかにも、あいつのやりそうなことだ」

と笑いとばしました。それからというもの、曾祖母は加持祈禱の類は一切やめて、精神的に病んでいたお仲は快復し、別の人と結婚して、子供も生まれ、病気は二度と起こりませんでした。

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編集後記

小さい頃から知識が豊富なだけではなく、物怖じしない栄一ならではの話です。小さいころから冷静な目で物事を見ていました。が、大人になってから何度か冷静さを失い、命を落としかねない場面もあります。それはまた後日の話。

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参考資料

第1巻(DK010005k)本文|デジタル版『渋沢栄一伝記資料』|渋沢栄一|公益財団法人渋沢栄一記念財団

『父 渋沢栄一』(実業之日本社文庫)

『渋沢栄一』(人物叢書)

2021年放送の大河ドラマ『青天を衝け』の主人公・渋沢栄一。当サイトでは、放送されるエピソードの他、放送されないエピソードも執筆しています!是非、大河ドラマと合わせてお楽しみください!