神の馬とは、ラムタラのこと。イギリスダービー、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス、凱旋門賞を勝ち、種牡馬として日本に輸入され、伝説を残した。
神の馬とは
神の馬とは、ラムタラのことです。
ラムタラという言葉そのものはアラビア語で「見えないほど速い」という意味ですが、日本人が大好きな意訳と、ラムタラのエピソード、戦績などが合わさって、「奇跡の名馬」や「神の馬」と紹介されました。
ラムタラの戦績
日本では神の馬としてもてはやされたラムタラの戦績はまさに神。
レース | グレード | 距離 | 着順 | タイム |
ワシントンシンガーS | リステッド | 芝1,400m | 1 | 1:28.26 |
ダービー (英ダービー) |
G1 | 芝2,410m | 1 | 2:32.31 |
KGVI&QES | G1 | 芝2,400m | 1 | 2:31.01 |
凱旋門賞 | G1 | 芝2,400m | 1 | 2:31.8 |
レースっぷりは動画を見たら分かります。
まさに神の馬。
ラムタラの何が凄いのか
そもそも、ラムタラは父・ニジンスキーと母・スノーブライドという超良血。
デビュー2戦目&3歳初戦でダービー優勝する時点で伝説的なレベルですが、59年振りにダービーレコードとコースレコードを更新します。
KGVI&QESでは闘志剥き出しで勝利。
凱旋門賞も前年度優勝したカーネギー、5戦無敗で勝ち上がってきたスウェイン、なんだかんだで話題になったカーリングなどの強敵揃いでしたが見事に勝利。
ミルリーフ以来のヨーロッパ三大レース(日本では欧州三冠とか勝手に呼んでる)を制覇します。しかも無敗で。
ラムタラの凄さは戦績だけではありません。(日本人が大好きな不幸から頂点に上り詰める感激)エピソードが、(日本だけに)神の馬と呼ばれた要因にもなります。
- 調教師が厩務員に銃殺される
- ラムタラが肺の感染症を患って重症になるも、ドバイの最先端病院で奇跡的に助かる
- 英ダービーをモーゼが海を割ったように勝つ
- キングジョージでデットーリに「真のプロボクサーだ」と言わせるくらいの闘志
- 凱旋門賞でデットーリに「ライオンの心臓を持っている」と言わせる
まさに神の馬にふさわしいエピソードです。
種牡馬としての神の馬
凱旋門賞後に引退してイギリスで種牡馬になりますが、何と、北海道日高の生産者団体ジェイエスが約33億円でラムタラを購入します。
契約の時、イギリス側の担当者は「本当はラムタラを売りたくない」という意思表示のためにインクの出ないボールペンを渡したとも言われています。
シンジケートもサンデーサイレンスが24億9,000万円だったのに対し、ラムタラは44億2,800万円という値段。
そして、初年度産駒から重賞勝ち馬を出すなど順風満帆でした。
…が、それ以降はパッとしない種牡馬成績に終わります。
まあ、簡単な話、当時の日本の傾向としてはスピードを重視していたこともあり、サンデーサイレンス産駒の様な、切れのある末脚・瞬発力が求められていました。ラムタラ産駒は虚弱ということもありますが、ラムタラの様な勝負根性は持ち合わせておらず、切れ味よりも欧州馬らしいタフなレースの方が向いていたようで、そもそも平成の日本の競馬には合っていなかったと言えます。
さて、これで何が問題になったかと言うと、日高の場産地が荒廃と化してしまったことです。
社台グループの様な豊富な資金力と優秀な繁殖牝馬、入厩前のトレーニング施設が充実していれば、ラムタラが種牡馬として成功していたかもしれません。ただし、ラムタラを購入することに全てを注ぎ、質の低い繁殖牝馬に種付けし、幼駒の育成もままならないままでデビューさせたために、そりゃそうなるよなという産駒戦績に。
そして、2006年、神の馬ことラムタラはイギリスに売却されます。2,750万円で。ここで、購入額と売却額を比べてみます。
- 購入額:44億2,800万円
- 売却額:2,750万円
ここからわかることは、44億円をイギリスに寄付して、日高という日本有数の馬産地を荒廃にしたということくらいでしょうか。