ロスチャイルド家はヨーロッパ各所にネットワーク網を持っており、その情報伝達の早さは他を圧倒するものでした。
19世紀初期、当時はまだ手紙という手段で情報交換していました。その手紙にロスチャイルド家の工夫があったのです。
19世紀初期の情報交換手段
19世紀初頭まで、情報交換の手段としては、口頭を除くと手紙でした。
もちろん、現代の様にLINEやメールはもちろん、電話もありません。そのため、手紙を書いて運んでもらう以外に方法はありません。
ロスチャイルド家はヨーロッパの重要都市にロスチャイルド家の五人兄弟がいました。兄弟間で連携して情報を交換し、各国の政府や有力貴族、相場などの動きをいち早く察知して、巨額の富を稼ぐのはもちろん、大恐慌を未然に防ぐなど、その情報網は他を圧倒していました。
現代で例えると、駅伝と同じ仕組みでネットワーク網を独自に構築しており、ロスチャイルド家が信用に値する人間に手紙を運んでもらっていました。また、伝書鳩を飼育しており、緊急の際には伝書鳩に手紙を運ばせていました。
ロスチャイルド家の暗号
手紙と言うリスク
ヨーロッパの重要都市の情報を、五人の兄弟間でいち早く交換し、巨額の富を得る一方、当然、ロスチャイルド家のビジネスライバルも存在します。
そのライバルたちは手段を選びません。ロスチャイルド家だけがいち早く得た情報を横取りする可能性もあります。
いくらロスチャイルド家の信用を得ている人間に手紙を運ばせているからと言って、その人間に対して巨額のワイロを渡せば、手紙(情報)がライバルの手に渡ってしまうかもしれません。
また、手紙を運んでいる人間から強引に手紙を奪い取ったりする場合もありますし、人間ですので、そもそも紛失してしまう可能性もあります。
手紙に暗号を施す
そこで、ロスチャイルド家のリスクヘッジとして、手紙に暗号を施します。
その暗号というのは、イディッシュ語です。
イディッシュ語というのは、東ヨーロッパのユダヤ人が話していた言語で、ドイツ語に近い言葉です。イディッシュ語はドイツ語の方言でもありますが、そこにはヘブライ語やスラブ語の単語も混ざっており、文字も右から左に書く(ヨーロッパの言語のほとんどは左から右に書くので逆)ので、イディッシュ語を知らない人からすると意味不明な文字の羅列に見えます。
この様に、理解できる人間が少ないイディッシュ語を用いて手紙の内容自体を暗号化していました。
編集後記
情報伝達が早くてもライバルに妨害されると意味をなさないですし、その情報がライバルに渡ってしまうと、ロスチャイルド家の損失も大きなものになります。
しかし、万が一、手紙自体がライバルの手に渡っても、その中身を解読できなければ、ただの紙切れです。そうなるように、ロスチャイルド家はリスクヘッジを充分に行い、ヨーロッパで巨額の富を得ることが出来たのでした。