SES(客先常駐型)企業には月1回程度で「帰社日」と言うものを設けている会社が多いです。何をしているのかは過去記事を参照頂くとして、帰社日に帰社しない場合、どうなるのでしょうか?気になる方は多いと思いますので、メリットとデメリットを含めて紹介したいと思います。
帰社日に帰社しないとどうなるか
昇給・賞与の査定がマイナスになる
定期的な帰社日を設けてる会社は、帰社しないエンジニアには昇給・賞与の査定でマイナスを付けます。帰社したかどうかは上長が管理しており、昇給・賞与の査定で「こいつは帰社した回数が少ないから、マイナス査定」という具合に簡単に査定に影響します。
何故、帰社しないだけで、こんなに簡単に昇給・賞与でマイナス査定にしてしまうのかと言うと、帰社している人間との差を付ける材料にしたいからです。実際に上司が一緒に常駐している現場であれば、業務の成果をある程度は考慮してくれますが、基本的にブラックなSESは一人で現場に行くので、「帰社日に帰社したor帰社しない」どうでもいいポイントで査定の材料にするしかないのです。
ちなみに、帰社するのは当然というのがSES企業の認識のため、毎回帰社しても査定はプラスにはなりません。「帰社するのは当然、帰社しなければマイナス」というスタンスです。
ちなみに、定時後の帰社の場合、多くのSES企業は残業代を出しません。会社側の言い分としては、「残業代は既に給料に含まれている」と言います。試しに筆者は「給料のうち、帰社日の手当ては何円なのか」を聞いたことがありますが、黙殺されました。払う気がそもそも無いので聞くだけ無駄です。
自社の人間から認識されなくなる
SES企業のエンジニアはそれぞれ違う現場に常駐しています。その為、帰社日や飲み会くらいしか自社のエンジニアと顔を合わせる機会がありません。帰社日は定期的にあるので、毎回帰社すれば、自社のエンジニアと月1回くらいは会うことが出来ます。
しかしながら、帰社しないと自社のエンジニアからは認識されないので、「誰?」みたいな反応をされます。そうなると、話し相手も出来なくなりますし、自社で孤立します。上長が様子を見に声をかけてくれるのかと思いきや、上長同士で仲良くおしゃべりしているので、自分から誰かに声をかける以外、誰とも話すことなく、帰社の時間を過ごすことになります。
帰社日に帰社するデメリット
さて、帰社日と言うのSESのエンジニアにとってはとても厄介で、帰社しても帰社しなくてもデメリットが発生します。帰社しない場合のデメリットは先述したので、次は帰社日に帰社するとどんなデメリットが生まれるのか解説します。
現場の作業が進まない
日中に帰社を命じられると、その分、現場での作業が進みません。午前中の帰社や午後からの帰社、終日帰社などがありますが、当然ですがその時間だけ作業が進まなくなります。納期が立て込んで無い場合であれば良いのですが、納期が近いと、半日、最大1日の進捗が進まない場合は大惨事になりますし、チームメンバーから快く思われない可能性が非常に高いです。進捗が出ませんから。
客先調整が手間
SES企業は日中に帰社する様に命じるところがあります。現場業務があるにも関わらず、日中に帰社を命じるということは、自分の現場の進捗が進まないということになり、客先に迷惑がかかります。しかしながら、SES企業は「現場調整をしろ」と言うだけで、エンジニアに現場の責任者に「すみません、帰社日なので…」と断りを入れて帰社することなります。
これが非常に面倒で、忙しい時期にそんなことを言うと嫌な顔をされます。当然です。基本的に「帰社します」と現場の責任者に伝えると、現場の責任者は断ることが出来ません。しかしながら「へえ、また帰社するんだ。ここ(現場)も忙しいのに大変だねえ」と嫌味を言われることがあります。
尚、現場の責任者から「うーん、ちょっと納期がギリギリだから、別の日にして欲しいんだけど(帰るな、やれ)」と言われると、現場で作業を続けるしかないです。で、そのことを自社に伝えると、「お前は調整能力が無い」と言われます。エンジニアとしては帰社して無駄な時間を過ごすよりも現場での作業を優先したいところなので、自社の営業が帰社する断りを入れて欲しいのですが、営業はそんなことしません。何故なら面倒だからです。それ以外に理由はありません。
休日帰社とかいう罰ゲーム
休日に帰社と言う会社も存在します。最近は休日手当てを出すSES企業も少しは出てきましたが、いまだに、休日の帰社で手当てを出さないSES企業が大半を占めています。プライベートは削られ、ストレスや疲労は溜まるので、誰も得をしません。また、休日なので現場業務に影響されない分、もし帰社しなければ査定に大きくマイナスされます。そうやって、どんどんマイナス材料を収集してエンジニアの給料やボーナスを少しでも減らそうとしています。
尚、シフト勤務の現場に入っているエンジニアの場合はとても面倒です。世間は休日ですが、現場は普通に稼働しているので、世間的な休日にも関わらず現場に帰社の断りを入れる必要があります。
どうでも良い話を聞かないといけない
客先調整を済ませ、頑張って現場業務を時間内に終わらせて帰社したとします。そこで待っているのは、上層部のどうでもいい話や、メールで済むだろうといった総務連絡・社内イベント開催の連絡です。正直、時間の無駄です。自社が現場の通勤経路の途中なら良いのですが、例えば、千葉県に住んでいて現場が千葉県、自社は東京都内にあるという人は苦行でしかありません。まっすぐ帰ればいいところを、わざわざ東京を経由して無駄な時間を過ごして帰ることになります。時間的な損失です。
予告なしの飲み会
どうでも良い話を聞いた後、さあ帰るぞ!と思いきや、大体は予告なしの飲み会がスタートし、強制的に参加と言う流れになります。断れる人なら良いのですが、断るのが上手でない人だと強制参加になります。無駄な話を聞き、行きたくない飲み会に自腹で強制参加させられ、その上、精神的・肉体的に消耗させられるといった害悪でしかありません。
予告なしの飲み会を実施する理由は「帰属意識を高める」ということが挙げられます。「飲みにケーションで離職率を減らそう」とかい非常に迷惑極まりない施策を実行する部長がいると、帰社日の日は自動的に飲み会になります。奢ってくれるならまだいいのですが、ブラックSESなので、部長職の給料も知れてますので、奢ることが出来ません。彼らもまた被害者なのですが、同時に加害者でもあります。
帰社日に帰社するメリット
帰社日に帰社すればちゃんとメリットもあります。しかしながら、それが素晴らしい恩恵なのかと言われると正直微妙です。別に不要と思う人も多いと思いますし、エンジニア仲間に帰社日のメリットを聞いたところ、「特にない。というか時間の無駄」というエンジニアが多かったので、「敢えてメリットと言うなら」という前提で説明します。
昇給・賞与の査定がマイナスにならない
先述しましたが、帰社日に帰社しないと昇給・賞与の査定がマイナスになります。しかしながら、ちゃんと帰社すれば査定はマイナスにはなりません。しかしながらプラスになることはありません。
自社の人間に覚えて貰える
ちゃんと帰社日に帰社すれば、自社のエンジニアに覚えてもらうことが出来ます。そうすれば、別の現場で一緒になった時に打ち解け易い等があります。ただし、人間の相性もありますので、一緒に仕事をしてみたらイマイチだなとお互いに感じる場合もあります。
まとめ:帰社しなければマイナス、帰社すればマイナスにならない(プラスにもならない)
今回はSESのエンジニアが帰社しないことをテーマにしました。結局のところ、帰社する行為自体が足枷であって、時間とお金の無駄にしかなりません。SES企業側も帰属意識を育てたいという思いがあるのでしょうが、帰社して顔を合わせてどうやったら帰属意識が育つのかを教えて頂きたいです。尚、給料やボーナスをちゃんと出せば帰属意識が育ちます。
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