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SESエンジニアが現場の契約を解除される理由

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SESエンジニアは客先に常駐して仕事をしますが、常駐先からある日突然、契約終了ということがあります。普通に仕事しているエンジニアは突然ということは無く、契約終了の1ヶ月くらい前には通達が来ます。しかしながら、SESエンジニアに原因がある場合や、SESエンジニアの所属しているSES会社に原因がある場合は、一方的に契約解除ということもしばしばあります。

 

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現場(常駐先)都合

プロジェクト終了のタイミング

開発プロジェクトの特定フェーズ、もしくは開発プロジェクト自体が終了したタイミングで契約が解除となる場合があります。開発プロジェクト終了後にSESエンジニアを運用・保守の要員として残しておくパターンが多いですが、ごく一部のSESエンジニアに限られます。例えば、担当した開発プロジェクトのシステムに非常に詳しい人や、プロジェクトマネジメントの手腕を持っている人などに限られてきます。

予算都合

プロジェクトの予算が削減され、システム開発や運用・保守のキーマンだけは確保し、替えのきくSESエンジニアの契約を解除することがよくあります。原因は現場の経営が残念なだけなのですが、そんなことは知らされずに「予算都合で契約終了です」と通達が来ることもあります。

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社会情勢

社会情勢の変化による契約解除と言っても、直接の原因は常駐先の経営状態の悪化による予算都合での契約解除です。が、契約解除の表向きの理由としては「昨今の社会情勢の変化による~」という都合の良い言葉を使われます。

金融危機

世界的な金融危機が発生し、常駐先の会社の経営が悪化した場合、真っ先に手を付けられるのがSESエンジニアです。記憶に新しいのはリーマンショックの時です。派遣切りが非常に問題になりましたが、SESエンジニアの準委任契約の解除もかなり問題になっていました(メディア報道ではあまり盛り上がってなかったですが、仮に取り上げると偽装請負や多重下請けなど、大企業にとっては都合の悪いことが露呈されるので…)。

リーマンショックの時に、現場から契約解除されたSESエンジニアが自社に戻って待機するのですが、その時に自社待機していたSESエンジニアが非常に多く、SES企業は一部のエンジニアを自宅待機にします。

自社待機ではなく自宅待機にする理由は、自宅待機の方が支払う給料が少なくて済むからです。自社待機の場合は出勤扱いなので、給料を満額支給する必要がありますが、自宅待機の場合は6割支払いで済みますからね(会社にもよりますが目安として)。

それで、自宅待機の対象になったSESエンジニアと言うのが「売りにくいエンジニア」です。

リーマンショック前は景気が良かったこともあり、売れにくいエンジニアでも割と簡単に現場面談を通過出来ました。ちなみに「売れにくいエンジニア」というのは、

  • スキル不足
  • 人間的に難がある
  • 未経験の新人・若手(そもそも仕方ないが…)

というエンジニアを指します。しかし、リーマンショックで色んな業界の経営状況が悪化したことにより、システム開発や運用・保守に少数精鋭と数多くの経験・スキルを持ったSESエンジニアを求められることが顕著になりました。

自然災害・人為災害・戦争災害・疫病等

これについては、2011年の東日本大震災や2020年の新型コロナウイルス流行が具体的な事例です。災害・疫病等で経済が停滞、経営状況が悪化した結果、常駐先から契約を解除されるパターンです。

2011年の東日本大震災の時は物理的に現場で働けなくなる(作業場所の損壊や交通機関の麻痺)などの要因により、一時的に契約解除→現場復帰というパターンも見られました。しかし、それにかこつけて、不要なSESエンジニアをそのまま切り捨てて現場復帰させないなども見られました。

2020年の新型コロナウイルス流行では、経済の停滞による経営状況の悪化で、SESエンジニアの契約を解除せざるを得ないケースもありますが、人命を優先してSES企業がテレワーク移行を求めたにも関わらず、常駐先が予算都合で拒否し、営業同士の関係が悪化して、最終的にSES企業と常駐先企業の企業間での契約解除というレベルの話も聞いています。

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SESエンジニア本人に原因

さて、ここからはSESエンジニア本人に関する話です。今までは契約解除だとしてSESエンジニアにとっては不可抗力な要因が多かったですが、SESエンジニア本人に原因があるという点にスポットを当ててみるとどうでしょうか。

スキル不足

SESエンジニア本人に原因があって契約解除される理由の最大の要員は、スキル不足です。聞こえの良い言葉だと「スキルアンマッチ」などと表現されます。

常駐先から要求されているスキルが少し足りないくらいであれば、SESエンジニア本人の努力次第で何とかなります。しかし、コーディングが出来ないのにプログラム開発フェーズに無理に投入されて、プロジェクトの大幅な遅延を発生させたりすると、契約解除されます。新人や若手のSESエンジニアにはよくあることです。

勤怠不良

遅刻・早退が多かったり、無断欠勤やウソの急病・忌引きなどで休むSESエンジニアは容赦なく契約解除されることがあります。SESエンジニアに限ったことではありませんが、そんなことをすればどんな会社でも「もう来なくていいよ」と言われ退職勧告されます。

勤務態度

これもSESエンジニアに限ったことではありませんが、勤務態度に明らかに問題ありと判断された場合、契約解除されます。高圧的・非協力的・愚痴が多い・文句が多い・居眠りをする・離席が多い・トイレにこもったまま出てこない…例を挙げれば星の数ほど出てきます。

不要な残業が多い

どこの会社にも不要な残業をしている人がいると思います。ただし、正社員であれば注意勧告や再教育等、何とか改善させようと努力しますが、SESエンジニアが不要な残業を繰り返していると、「この人、残業させるほど作業与えていないのに残業している」という理由で、結構あっさりと契約解除されます。

不正疑惑

最近は少なくなりましたが、スマートフォンが流行り出したころ、スマートフォンをUSB接続して充電して画面を触っているのを常駐先社員に目撃され、データを吸い出しているのではないかと言う理由で契約解除される事例が多々ありました。実際にデータを吸い出しているかどうかは別として、スマートフォンが流行り始めたころは、スマートフォンに関するITリテラシーが不足しているSESエンジニアが多かったです。

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SES企業が原因

無理な単価アップ要求

SESの営業は一度現場に投入したSESエンジニアの単価アップの交渉に臨みます。常駐先の現場にもよりますが、1年以上同じ常駐先に出向しているSESエンジニアがいるなら、一般的なタイミング的は毎年の年度末です。単価アップすれば、一定期間の売り上げアップにつながりますからね。

ですが、常駐先の企業は単価アップしたくありません。人件費ですからね。出来れば現状維持しておきたいのですが、企業間の付き合いもあるので、ちょっとだけ単価アップに応じます。社会情勢や常駐先の経営状況にもよるので、単価アップに応じることが難しい場合もあります。

その単価アップの交渉の際に、SESの営業があまりにも無理な単価を提示すると、常駐先の予算都合もありますので、SESエンジニアも契約解除となります。例えば、月単価50万円のエンジニアの単価を10%上げると仮定します。10%アップだと月単価55万円ですよね。1ヶ月5万円アップは結構無理な要求です。「1ヶ月だけならいいんじゃないか?」と思う人が多いかもしれませんが、1年間で見ると60万円のアップです。1年間で60万円を追加で人件費に使うことに常駐先が渋るのは納得できます。また、他のSESエンジニアの単価アップも考えないといけないので、常駐先は出来るだけ単価交渉に応じたくないのが実情です。

そもそも、SESエンジニアは単価を上げるのが難しいです。その理由は過去記事にも記載しているので詳細はそちらを確認下さい。

ホワイトなSES(客先常駐型)企業の条件
SES(客先常駐型)企業は「やばい」とか「やめとけ」というような、大体ブラックな感じで紹介されています。確かにSES企業は大半がブラックなのですが、中にはホワイトなSES企業も存在します。

SES企業の戦略都合

SESエンジニアが同じ現場に居続けることを希望しても、SES企業が経営戦略の都合で契約解除のパターンもあります。スキルも合っている、勤怠や勤務態度も良好、残業も少ないというSESエンジニアだとしてもです。

SESエンジニアの現在の常駐先での単価が安いと判断した時、他の現場に移そうとします。SES企業としてはSESエンジニアの単価が安いままだと、SESエンジニアの給料も上げることが難しい…と考えているSES企業はほぼありません。売上を増加させないと企業の体裁が保たれない、銀行などの金融機関からも売り上げが上がっていないと信用が薄れていくなど…の懸念や不安があるので、SESエンジニアの現場を変えて単価を上げようと試みます。

営業の不仲

SES営業の態度が悪い、連絡を取っても返事が遅い、スキルアンマッチのエンジニアばかり連れてくるなどが原因で、営業同士が不仲になり、そのとばっちりをSESエンジニアが受けて、契約解除という場合もあります。

SESエンジニアからしたらたまったもんじゃありません。

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編集後記

SESエンジニアが現場の契約を解除される理由を挙げました。だいたいは本記事のパターンで解除されます(唐突に逃げたとか、機密情報をリークしたとかの事例もありますが、特定される可能性があるので書きません)。

SESエンジニア本人が原因の場合は、SESエンジニア自身が努力すれば何とかなることなので、この記事を読んで心当たりのある人は、今一度、ご自身の状況を俯瞰して見直してみてはどうでしょうか?